ポケコンBASICによるゲーム制作講座

第2章 ゲーム性がおいしさのカギ


 素材選びが終わったら早速プログラミング(料理で言うならば調理)に取り掛かっている人もいるかと思いますが、ここで注意が必要なのはどんなゲーム性にするかということです。確かに細かい設定やフローチャート作りも重要ですが、面白いゲームを作るためにはこのことが重要となるのです。
 料理で言うならば自作ゲームを作るという行為はオリジナルの料理(つまり、あらかじめレシピが用意されて無い料理)を作るということになります。その際どの材料をどの分量入れ調味料をどれだけ入れ火をどれだけ通すなどの技術的なことではなくどうやったらおいしくなるかということだと思います。食べる人の好みや味覚等によっておいしいかどうかの基準は異なりますが、自分がこうしたらおいしいと思う基準がないとおいしい料理になんて絶対に作れるはずがありませんよね?
 そのおいしさの基準として最も重要なのがゲーム性となるのです。

 先程も書きましたがこの「ゲーム性」という言葉は「おいしい」という言葉と同じで何げなく使っている人も多いと思います。実際に料理を食べていて「おいしい」と感じた時に「その料理がなぜおいしいのか?」と問われてすぐに答えられないのと同様にあるゲームをプレイしてが面白かった時に「ゲーム性が良いから」とはぐらかすように使っている人が大半ではないかと思います。
 しかし、ゲームを作る上、または、完成したゲームをプレイする上でどうしても出てくる言葉だけにせめて自分なりでもいいからその意味を把握しておきたいものです。それに、今後この講座の中にも「ゲーム性」という言葉が多く出てくるのでこの言葉の意味が伝わらないと理解が難しいですしね(笑)

 まず、「ゲーム性」の前に「ゲーム」とは何かについて考えることにします。  料理に例えてもいいのですが説明が難しくなるのでここでは野球で例えることにします。それでは皆さんにお聞きしますが「野球中継を見る」のと「野球ゲームをする」のとでは根本的な違いは何でしょうか?これは私があえて言うまでもないとは思いますがプレイヤーが画面の選手を操作可能かどうかということですね。このインタラクティブ性こそがゲームである所以となります。仮にプレイヤーが全く関与しない野球ゲームが存在すればそれはもはや野球「ゲーム」とは呼べないでしょう。

 野球をする場合ピッチャーが投げたボールをバッターが打ち返した際に様々なリアクションが起こります。ファールになるかもしれないし、ヒットになるかもしれないし、それによって得点が入る場合もあります。しかし、打ったボールがどうなった場合にそれがどうなるかというのは予めルールで定められた結果にすぎません。長い間かけて制定されたこの野球のルールによって野球は守備側も攻撃側も楽しめるものとなっており、それが野球の面白さへとつながっているわけです。
 しかし、これはあくまで「野球」の話であって「野球ゲーム」の話ではありませんね。
 なぜかというとプレイヤーは画面の中にいるのではなく画面の外にいるからです。身体的な能力を考慮しない場合、現実世界の野球では自分が思うような動きができるわけですが画面の外から操作するためにかなりの制約が出てくるからです。もっとも、バーチャルリアリティによって現実と寸分違わない空間の実現が可能ならば別ですが、現在の科学力では不可能なのでそれはおいておきましょう。というわけで、野球ゲームを作る場合においては表示装置の制約や入力装置の制約を考え野球「ゲーム」としての面白さを考える必要があるのです。
 そのゲームとしてのエッセンスが「ゲーム性」となるわけです。
 エッセンスは言い換えればルールといえるでしょう。ここで言うルールとは野球自体のルールではなくゲームのルールです。自作ゲームであれば選手の動きやボールの動きのルール等すべてのゲームとしての要素が制作者の手に委ねられます。具体的に言えば、投打の「駆け引き」を始め、各選手の能力やボールの飛び具合等が重要となる「ゲームバランス」、入力装置によって操作がしやすいかどうかの「操作性」、操作がうまく画面のキャラに伝わるかどうかの「操作感」がそれに相当しこれらがゲーム性と密接な関係があります。ただ、一般的に言えば、「ゲーム性が高い」と言った場合には駆け引きや戦略性の高いものを示し、ゲームバランスや操作性や操作感はそれに付随したものと考えることが多いです

 というわけで、ゲーム性を重視したゲームを作るために重要なのは詳細設定を行った後にゲーム作りをするのではなく、どんなゲームにしたいかがあらかた決まったらまずは実際に作ってみることです。なぜかというと頭の中に描いているものが実現可能かどうか、また、それが本当に面白いかどうかは作って見ないと分からないことが多いからです。面白いと思って作ってみたらあまり面白くなかったという場合でも個人制作ならばいくらでもやり直しがききますからね。また、実際に作って見ることでタイトルデモや設定を決める段階で作るのが飽きてしまうなんていう事態も起こりにくくなります(笑)

 次の章からは実際にゲーム作りをする上で注意すべき点について述べますが、ゲームの特性に合わせて2つに分けて書いてあります。

第3章 リアルタイム型ゲーム
第4章 思考型ゲーム

 リアルタイム型ゲームはある程度の速度のキー操作を要求するゲーム、思考型ゲームはプレイヤーの思考を重視したゲームのことです。単純なゲームならばどちらかのみに当てはまると思いますが、複雑なゲームの場合は両方の要素が入ったものも少なくないので一応両方とも目を通すことをオススメします。

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序章
第1章 素材選びはすべての源
第2章 ゲーム性がおいしさのカギ
第3章 キーレスポンスでおいしさが変わるリアルタイム型ゲーム
第4章 アイデアでおいしさが変わる思考型ゲーム
第5章 テストプレイはゲームの味見
終章


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