ポケコンBASICによるゲーム制作講座

第4章 アイデアでおいしさが変わる思考型ゲーム


 思考型ゲームにもいろいろな種類がありますがここでも一般的な分類ではなくリアルタイム型ゲームと同様に私の独自の分類方法で考えていこうと思います。

(1)対戦相手がいるタイプのゲーム
(2)対戦相手がいないタイプのゲーム

(1)は戦略型シミュレーションやオセロ、麻雀ゲームなど、(2)は育成シミュレーションやRPGやパズルゲームなどです。

(1)において重要なのはまずはゲームのアイデア(基本的なゲームシステムや世界観など)でしょう。その点、オセロや麻雀といった既存のゲームをポケコン上で再現するのであればそのアイデア自体の目新しさはなくともゲームそのものの面白さは十分保障済みです。しかし、アイデアだけで何とかなるものではありません。なぜかというと対戦型のゲームの場合は思考ルーチンが重要になるからです。
 思考ルーチンというと何だか難しい作業を行うようですが、「自分だったらこの場合どうするか」ということを単にBASICで表せばよいだけです。しかし、いくらリアルタイムで動作させる必要はない(3cps以上の必要はない)といってもポケコンBASICの処理速度では極端に凝ったことは出来ずメモリもそれほど多くないのですべてのパターンについて考えるのは無理があります。したがって、アルゴリズムの改良や思考ルーチンの簡略化が必要になることも多いと思います。オセロ等はコンピュータが弱ければ面白さは大幅にダウンしてしまうので処理を簡略化しつつ思考ルーチンを強化していくというのがポケコンBASICでコンピュータとの対戦ゲームを作る上で最も難しい点だと思います。リアルタイム対戦型ゲーム(格闘ゲーム等)は処理速度の制約があるので思考ルーチンは思い切った簡略化をする必要性があるかもしれません。

(2)は(1)のような思考ルーチンを作る必要はないのでこれならば簡単に自分が想像しているゲームが作れるのかというとそうではありません。それはゲームのアイデアに加えてゲームバランスが重要になるからです。

 「ゲームバランス」という言葉は第2章でも出てきましたが、ゲームバランスはどうするのがベストというのは単純には言えないのが難しいところです。というのもゲームバランスというのは主観的な要素が高いからです。バランスはきつめにするのかゆるめにするのかというのは制作者の好みにかなり影響されますからね。例えばパズルゲームを作る場合誰でも簡単にクリアできるようにするのとよほどの人でない限りクリアは不能なものを作るのとではどちらが良くてどちらが悪いということにはなりません。「気軽に楽しめるから面白い」のか「難しいからやりごたえがある」のかはプレイヤーによりますからね。
 ここで注意しておかないといけないのはその難易度が意図してそうなってるのかということです。意図的に難しくしたのではなく簡単なゲームを作ったら思った以上に難しかったとなるとなんらかの方法で調整が必要になるでしょう。というのも今までは全体のバランスのみを見てきてみたわけですが部分的にゲームバランスが崩れている可能性が高いからです。  RPGでいうならば一部の武器防具の強さが全体を見渡した時に強かったりとか一部の地域の敵のみその時点としては極端に強くなっている場合があるからです。ドラクエを例に出すと敵の強さは普通にダンジョンを周回して逃げずに戦っていれば経験値稼ぎの必要がなく普通に倒せる強さの敵が出現し、そうして稼いだお金で普通に武器や防具が買えるといった具合に非常にバランスが取れたものとなっています。
 しかし、いくらゲームバランスが良くてもプレイヤーにとってそのゲームのアイデアが魅力的に思えないのであればゲームとして魅力的に感じてもらえないので「面白い」と思ってもらえるようなゲームを作ろうとするのであればアイデアが非常に重要だと思います。もっとも、万人にウケルようなアイデアなんてものは存在しないのである程度ターゲットを絞る必要はありますが・・・。

 というわけで、思考型ゲームはリアルタイム型ゲームと比べて処理速度はそれほど気にしなくて良い分だけアイデアが重要になってきます。用意された素材をいかにうまく調理していくかということが面白いゲームができるかに繋がってくるわけです。


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序章
第1章 素材選びはすべての源
第2章 ゲーム性がおいしさのカギ
第3章 キーレスポンスでおいしさが変わるリアルタイム型ゲーム
第4章 アイデアでおいしさが変わる思考型ゲーム
第5章 テストプレイはゲームの味見
終章


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