私とポケコン

 私がポケコンと出会ったのは1983年のことでした。当時、クラスの中で数人が学校にポケコンを持ってきてお互いに自慢(マイクロカセットとプリンタが一体化したCE-125は当時のポケコンユーザーのステータスでした)しあっていました。パソコンのことを「マイコン」と呼んでいた当時、コンピュータといえば、テレビ型の表示機があって、それに大きな本体とキーボードくっついているものというのが頭の中にありました。だから、ポケコンを見たとき思ったのが「これって、本当にコンピュータ?」ということでした。しかし、小さいながら、立派にゲームが動いていて、しかも、それを自分で作ることができるというのです。それは、まさに「コンピュータ」でした。その後、ポケコンが私を魅了するのにはそれほど時間はかかりませんでした。
 翌年、何とか貯金をしてPC-1245を購入し、学校の授業中によくプログラミングをしたものです(笑)。当時、「プログラムポシェット」「Pio」「ベーマガ」などの雑誌は、最高の参考書であり、いつかは雑誌に掲載してやるぞと熱くなったものでした。しかし、当時は小遣いの関係でほとんど買えず、友達と見せ合いをしていました。今も、何冊か当時買った雑誌が残っていて非常に懐かしい思いに浸っています。そうしているうちに、ある程度のプログラムが、作れるようになりました。だから、よく、電器屋に置いてあるPC−88やMSXでゲームを作って遊んだものです。しかし、相次ぐ雑誌の休刊と学校が忙しくなったことによりポケコンから次第に離れていきました。
 しかし、そこに現れたのが、ポケコン専門誌「ポケコンジャーナル」と超高性能ポケコン「PC-E500」です。E500は今までのポケコンの5〜7倍の圧倒的な演算速度(PC−88と同レベル)とパソコンライクなBASICの搭載など再び私をポケコンに夢中にさせるには十分な存在でした。
 それから数年後・・・。アメリカ人は頭の思考が当然英語ですが、私は頭の思考がBASICになってきました(笑)。「習うより慣れろ」というのはまさにこのことですね。困ったことに、気が付いたら頭の中にBASICのプログラムリストが浮かんで行くのです。う〜む・・・。これだけBASICを使っている人って他にいるのかな(笑)
 お陰様で「ポケコンジャーナル」や「ベーマガ」では何回かゲームなどを掲載していただきました。特に、印象に残っているのはポケコンジャーナル96年5月号で7ページほどプログラムテクニックについて書かせて戴いたことです。何しろ、最終号だったもので・・・(笑)。
 最後に、私にとってプログラミングとは究極のゲームであり、それをいつでもどこでも実現してくれるポケコンは究極のゲーム機であるといえるのです。


PC−E500の魅力

 PC-E500シリーズは(プログラミングという観点から言えば)ポケコン史上最高傑作です。
 処理速度が速いとか画面が広い(画面の広さNo.1はPC-G850ですが)などもその理由の1つですが、快適にプログラミングできるというのが大きいです。その1つがファンクションキーの存在(その代わり本体が大きくなってしまいましたが・・・)でしょう。これによりデータの受け渡しやキーマクロなどがファンクションキーにより行うことができるようになりました。
 そして、やはり、E500BASICの存在です。これは、過去のポケコンBASIC(PC−13/14シリーズ)のBASICを拡張したもので、「ポケコンとは」の項でも書いたようにパソコンライクなプログラミングをすることもでき、ポケコン的なプログラミング(例えば、関数などはすべてカッコを省略できるなど)もできるというすぐれもの(ポケコン的な処理の方が多くの場合においてメモリ節約と処理の高速化につながる)なのです。だから、N88BASICなどをやってきた人も容易に使うことができるし、今までポケコンを使ってきた人ならばさらに細かいカズタマイズが可能なのです。つまり、人それぞれにあったプログラミングができ、使えば使うほどに味がでるのです。
 性能の方もゲームで必要なグラフィック処理は標準のGPRINTは使いやすいけど遅いのが欠点ですが、PCGライクなフォント書き換えや、パソコンのBASICでもまねできないOPASなど必要にして十分な性能を持っています。サウンド面はBEEPのみと弱いですが、昔のポケコンのように単純なものではなく音程があるものなのでBASICで容易に音階演奏(といっても単音ですが)が可能になります。あと、RAMファイル機能があるので外部記憶装置なしでも簡単にプログラムがセーブできるし、BTEXT$を使えば、セーブの必要なしにいつでも使いたいソフトを立ちあげが可能(ゲームを作りながら途中セーブなしでグラフィックエディタを使用可能)です。
 いつでもどこでもポケコン本体だけで簡単にプログラミングができるのです。恐らく、将来に渡ってもこれを越えるコンピュータは出てこない(もちろんプログラミングという点においてですが・・・)でしょう。唯一の欠点は先程も書いたように「ポケコン」なのにポケットに入らないという大きさです。こればかりは、使いやすさ(キーの押しやすさ)との兼ね合いがあるので何とももどかしい点ですね(笑)。


《おまけ》

私と100M走

 はっきり言って、私が作ったゲームで一番多いのは「100M走」のゲームです。なぜかというと、簡単にでき、しかも、自分で遊べる(アドベンチャーなどは作った本人は楽しめませんからね)というのが一番の理由でしょう。その数、数百いや数千あるかもしれません。商業紙に掲載されたものだけでも3つあります。グラフィックを使わなければ3分で出来ますからね。まさに3分クッキング・・・もとい、3分プログラミングです。まあ、3分で作ったものを投稿するわけには行きませんが(笑)。
 PC-1245で作っていたころは処理速度の問題からかなりの無理がありましたが、PC-1350を使っていたころになると当時としてはトップクラスの画面の大きさで、グラフィックを多用したゲームが作れたのですが、画面の割りに処理速度が遅いのでコンパイラや部分的にマシン語を使ってゲームを作っていました。
 ところが、PC-E500の登場によりオールBASICでも(当時としては)満足の行く処理速度を得ることが出来るようになったのです。そこで、買って間も無い頃に作ったゲームが「ハイパーウルトラ100M走」です。
 このゲームは、100M走としては画期的(?)と言える主人公が成長するシステムを搭載しています。コンピュータ戦に勝つごとに少しずつ成長していくのです。この成長がすごくて、勝った時に成長するのは当たり前として、苦戦して負けたときや辛うじて勝ったときには一気に成長(逆に大勝したら成長はしない)します。さらにタイムがゾロ目になったら成長するとか・・・非常に多くの成長パターンが存在するのです。さらに主人公の名前によっても成長パターンが異なるのです。コンピュータ戦ではドーピングが使えるのは当然として(笑)、「フライング無効技」も存在します。この「フライング無効技」というのは、「アレハ、ナンダ!?」と言ってコンピュータがそちらに注目している間にスタート出来るというインチキ技です。でも、「ドーピング」や「フライング無効技」を使うと能力値が下がってしまうので、あまり多用はできません。最強のコンピュータに勝つと感動のエンディングが・・・何と約5分間もあります。エンディングで全リストの半分を占めているというすごさです(笑)。いや〜〜〜、いま考えるとこのゲームは正真正銘クソゲー(バカゲー?)ですね(爆)。
 それからも、さらにいろいろな100M走のゲームを作って行きました。E500BASICを駆使すればPC-1350のコンパイラよりも速いということが実証もされました。それで、結局いつから100M走のプログラムを作り始めたのでしょうか。まだ、BASICを覚えて間も無いころに画期的(?)な「キーを交互に押す判定方法」を考えついたために、それ以来キーを交互に押す100M走のゲームを作るようになったような気がします。まさに私のポケコンの歴史は、100M走の歴史といっても過言ではないのです(笑)。


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