ポケコンでマルチタスク!?

謎の命令BTEXT$の脅威!!

 実はBTEXT$という命令はマニュアルには載っていません。では、どんな命令かというとすごく便利な命令なのです。通常BASICプログラムを作るという行為はE500にとっては「S1:TEXT.BAS」というファイルを作成することになっているのです。

 BTEXT$ [RETURN] としてみてください。

「S1:TEXT.BAS」と表示されましたね。これのどこが便利なのかというのを見ていきましょう。

 通常、BASICではプログラム作成中に別のプログラムが作りたくなったら、一旦、RAMファイル等にセーブする必要があります。しかし、「BTEXT$=”S1:OCHAME.BAS”」などとすれば、「S1:TEXT.BAS」に作成途中のプログラムをセーブすることなしに「S1:OCHAME.BAS」というファイルで新たなプログラムが作成可能なのです。

 ここまで書いてもどこが便利かまだ分からない人がいるかもしれないので、もっと具体的に書くことにしましょう。例えば、事前に「S1:EDIT.BAS」というファイル名でグラフィックエディタをセーブしておいたとします。ゲームを作っていて、ふとグラフィックを作り直したい(プログラムの骨格を作ってからグラフィックを作る人もいるでしょう)ときは普通は一旦RAMファイルにセーブするしかありませんよね。

 しか〜し!このBTEXT$を使えば  BTEXT$="S1:EDIT.BAS" [RETURN]」

とするだけでエディタが使用できるのです。

 何だか面倒臭いなと思っている人は考えが甘い!PFキーに「”BTEXT$=”+CHR$&22+”S1:”」を登録し て置けば、PFキーを押して「EDIT.BAS[RETURN]」とするだけで良いのです。
 実は、まだ、簡略化できます。エディタのファイル名を「S1:E.」にするのです。そうすれば、通常は作成中のプログラムを一旦セーブしてエディタをロード するという作業と同等のことが、PFキーを押して「E[RETURN]」とするだけで実現できます。数十回のキー操作がたったの3回になるのです。
 メリットはそれだけではありません。通常の一旦RAMファイルにセーブする方法だと、当然のことですが最低でも作成中のプログラム分空きがないとどうすることもできません。つまり、全メモリの半分程度のプログラムを作ろうとしたら他の事が何も出来なくなるのです。しかし、BTEXT$を使えばメモリの大半を占めるような大きなプログラムを作ったとしても、エディタやその他のソフトを使用したり、新たに別のプログラムを作ることさえできてしまうのです。多い日も安心(?)ですね(笑)。
 BASICをメインに使用している人はBTEXT$を知っているのと知っていないのとではプログラム開発環境に大きな差ができてしまいます。

 BTEXT$にも問題がなくはありません。
 まずは、現在作成中のプログラムのファイル名が何か分からなくなることです。通常だと「S1:TEXT.BAS」以外は考えられませんが、BTEXT$は意図的にこれを書き換えているのでいつも同じファイル名とは限りません。「BTEXT$[RETURN]」とすれば簡単に分かりますが、「S1:TEXT.BAS」にあることを前提にしたプログラムもあります。例えば、ポケコンジャーナル96年2月号掲載のそうげん&公孫さんの「BCS」などがそうです。
 あと問題なのは、メインで開発しているプログラム(BTEXT$使用中は複数プログラムの同時開発が可能になるため)のファイル名をどうするかということです。この、ファイル名を「S1:TEXT.BAS」としてもよいのですが、メインのプログラムはその名の通りに「メイン」なので最も頻繁に切り替える可能性があり、そのたびにPFキーを押して「TEXT.BAS」と入力するのは面倒(「TEXT.BAS」をPFキーに登録すれば簡単だけどね)ですね。
 だから、私はファイル名「S1:.」をメインに使用しています。こうすれば、別のプログラム作成中にメインプログラムに戻る場合もPFキーを押して[RETURN]を空打ちするだけなので、2回のキータッチで済みます。 それで、肝腎の「S1:TEXT.BAS」には何が入っているかというとPFキーの復帰プログラムです。何かの拍子にPFキーの登録内容が初期化されたとき(この場合は作成中のファイルが自動的に「S1:TEXT.BAS」になる)もRUNをするだけで、元の環境にすぐ復帰できます。

 以上のことが理解できましたでしょうか?
正直言って実際に使ってみないとこの便利さは実感してもらえないでしょう。よく使うプログラムを「S1:」上に 置いておけば、セーブやロードの必要性がほとんど無くなります。何しろ、使いたいプログラムが瞬時に使えるようになる(または、現在開発中のプログラムがあってもすぐに別のプログラムを作ることができる)のです。複数のプログラムを使い分けている人、または、複数のプログラムを作ろうとしている人には最適です。

 この便利さに慣れたら、恐らく、BTEXT$なしの生活に戻れなくなるでしょう(笑)。


RETURN

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