ポケコンBASICによる

アクションゲーム制作講座 〜初級編〜

第1回 ゲームを作る前に


 いよいよ初級編というわけで実際にゲームを作ってみます。
 第1回は「ゲーム作りをする前に知っておくべきこと」と「本講座の内容」について書いていきます。
PART1 ゲームの構成を知る
PART2 フローチャートを覚える必要は無い
PART3 ゲームは完成させることに意義がある
PART4 この講座について



PART 1 ゲームの構成を知る

 ゲームを作るにはゲームがどのように構成されているのかを知らなくてはなりません。
 一般的にはアクション系のゲームは下記のような要素で構成されています。

(1) タイトル画面
(2) メイン部分
(3) ゲームオーバー画面
(4) エンディング

 この中で一番重要なのはメイン部分(メインルーチン)でしょう。
 「メインルーチン」と一言で言っても「自キャラの移動」「敵キャラの移動」「当たり判定」などの多くの要素で構成されています。したがって、ゲームを作る場合には最初に輪郭的な内容(アウトライン)を考えて徐々に細部をどうするのかというのを考える必要があります。これは普通の文章を考える場合とあまり変わりません。その考えた細部の要素を具体的にプログラムリストとして表現する(コーディングする)作業をプログラミングといいます。
 ゲームを作れるようにするためには「プログラミングができる」ということが必要になりますが、コーディングしやすいように細部の要素を具体的に考えられるようになることが重要となるわけです。



PART2 フローチャートを覚える必要は無い

 新しく作るゲームで何も前準備もせずいきなりコーディング(プログラミング)するのはよほど慣れている人でないと難しいし、慣れている人であっても少し複雑なものを作ったり、途中でゲームの仕様を変えた場合に対応も難しくなります。したがって、ゲームの流れを記したフローチャート(流れ図)というもので表すことが一般的には薦められています。

 しかし、このフローチャートというのも書き方を覚えるのが最初は大変というのもある上に何よりもプログラミング経験の浅い人にとってはこれから作るゲームのフローチャートを書くという行為自体が困難でしょう。他の言語経験者ならばフローチャートを書くことは何ら問題はないですが、ポケコンBASICでプログラミングデビューという人にとってはこのフローチャートを書くという作業がゲーム制作の足かせとなってしまいかねません。
 むしろ、作り慣れていない人であれば頭の中で考えてあれこれ悩むよりは実際にポケコンで動作確認をする方が何倍も有意義です。したがって、作りたいものが決まったらポケコンで実際にどのように実行されるのかを試してみることが最も重要になります。ある程度経験を積むことでどのようなことができるのか、どのようなレベルまでできるのかということが分かるようになるため自ずとフローチャートもちゃんとかけるようになると思います。

 この経験こそがゲーム制作やプログラミングにおいて重要となります。特に初心者にとっては頭の中で考えたことよりも身体で感じ取った経験の方がより深く根付くと思います。
 経験を積むことで自分にとっての引き出しの数を増やすことに繋がります。引き出しが多い(≒経験が多い)ということは重要ですが、むしろ重要なのは別のゲームを作るときに以前作ったゲームの経験が生かせるようになっておくことだと私は思います。それができないようであれば経験を多く積む意味は無くなってしまいます。そのためにも頭の中で「理解したつもり」になるより身体で「理解を体感」する方が良いわけです。「分かる」と「できる」は異なるのです。
 だからこそ作る前にあれこれ悩む時間があればさっさと作り始める方がいいのです。引き出しがない状態で頭の中だけで考えても何も出てこないので、引き出しにないことは実際にやって確かめてその経験を自分の引き出しに加えていくしかないからです。

 趣味で行うプログラミングであればそのやり方はあくまで自由です。作りやすいようにやって構いません。初心者であってもフローチャートが全く苦にならない人ならばどんどん書いていくべきでしょう。ただ、最初に覚えることが多ければ多いほど、やらなければならないことが多ければ多いほどゲーム作りそのものが面倒な作業という認識となってしまい、その結果プログラミングの上達さえも阻害してしまうことがあります。
 したがって、この講座ではフローチャートは一切使用しません。楽しく完成させていきましょう。プログラムの仕組みをちゃんと理解しながらプログラミングをしていけば、フローチャートは必ずしも必要なものではありません。これはあくまで、個人で管理可能な小規模なサイズのBASICプログラムにおいてのみ言える話ですが。



PART3 ゲームは完成させることに意義がある

 初心者にとって最初の段階で最も重要なのは完成させるということです。
 高い理想を掲げてすごいゲームを作ろうとするのは大いに結構なことですが、まずは1本自分自身の手だけで作り上げるということが大事です。これによって自分に足りない物目標も明確に見えてくるだけではなく「完成させた」ということが自信にもなります。

 確かに技術不足で作ろうと考えていたものが作れず途中で断念しなくてはならないこともあるでしょう。しかし、途中で「飽きた」「面倒になった」という理由で中断することだけは避けるようにしたいものです。そうならないようにすることがゲーム制作初心者にとって最も重要な課題ともいえます。
 凝ったゲームを作ろうとタイトル画面やエンディングを先に作ってしまうとそこで力尽きる人も初心者の中には少なくありません。特にRPGなどでは世界観や敵モンスターやアイテムの設定を考えただけで飽きる(もしくは自己満足する)人もいますので、そういう凝ったゲームを作る前にまずはお手軽なアクションゲームで完成させるということを覚えていきましょう。



PART4 この講座について

 よくあるプログラミング講座では正解の1本道(レール)があらかじめ用意されていてそれに沿って解説するという形が取られている場合が多いですが本講座はそれとはなるべく複数の手段を提示するようにしています。それはプログラミングにおいて正解は1つというわけではないからです。
 また、多少長くなっても間違えやすい部分も提示するようにしています。正解だけの1本道プログラミングでは間違いがないためあまり自分の力にならないためです。何が間違いなのかが分かることで何が正しいのかが本当に分かるようになると思います。
 この講座によって簡単なアクションゲームが作れるようになるというだけではなく何らかの問題が発生したときにそれが問題であると認識し自らの力で改善できる方法を見つけるようにできるようになれば良いなと思っています。

 なお、この講座に出てくる「ポケコン」は特別な意図がない限りはPC-E500シリーズ全般のことを示します。具体的にはPC-E500、PC-E550、PC-E650、PC-1480U、PC-1490UII、PC-U6000のことになります。
 PC-E500シリーズはポケコンの中ではBASIC命令の処理速度が速く、グラフィック関係の命令も豊富で音階演奏もBEEPで可能でBASICの範囲内で同時キー入力も可能ということでオールBASICでゲームを作るには最適のポケコンであり、アクションゲームを作りにも最適でしょう。最もハードルが低いこのポケコンであれば誰でも気軽にプログラミングのコツを覚えゲームを作れるようになると思います。

 あくまでこの講座はゲーム制作講座であり、プログラミング講座ではありません。したがって、プログラミングの手法だけではなくいかにしたら良いゲームが作れるかということも同時に書いていくつもりです。

※この講座では良いゲームとは面白いゲーム、操作性の良いゲームなどプレイヤーに配慮したゲームのことを示す


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